論点1
相続と贈与
相続や贈与で受け取る財産に、上限を設けるべきでしょうか。
まず、何を問題にしているのか
このサイトでは、お金持ちであること自体を問題にしていません。自分で築いた財産を持つことと、相続や贈与で財産を受け取ることは、分けて考えます。
問題にしているのは、対価を払わずに受け取る財産が極めて大きい場合です。そのような財産の引き継ぎによって、生まれた家や人間関係が人生の選択肢を大きく左右することを、どう考えるかが論点です。
資料で確認できること
確認できること
経済協力開発機構の2021年の報告書は、相続や贈与への課税方法を比較しています。機会の平等を重視する場合の案として、受取人が一生の間に受け取った財産を合計し、一定額までは課税しない方式を検討しています。一方で、行政の事務負担や、納税者が制度に従うための負担が増える可能性も指摘しています。
この資料は、このサイトが検討している「一定額を超えた部分を100%徴収する」という案を提唱しているものではありません。
検討中の提案
このサイトで検討している案
相続や贈与などで一生の間に受け取れる財産に上限を設け、上限までは課税せず、超えた分は全額を徴収する案です。
上限の目安として「平均的な年収の約10倍」を考えています。ただし、平均値と中央値のどちらを使うか、個人と世帯のどちらの年収を基準にするか、物価や賃金の変化に合わせて見直すかは、まだ決めていません。
この案は、血縁のある親族だけでなく、配偶者や友人など、誰から受け取る財産にも同じ上限を適用するものです。なぜそこまで広く対象にするのか、という点も検討が必要です。
権利との関係
財産を残す自由と、どう両立させるか
日本国憲法29条は財産権を保障し、その内容は公共の福祉に適合するよう法律で定めるとしています。24条2項は、財産権・相続など家族に関する事項について、法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないと定めています。
これらの条文だけで、この上限案が憲法に適合するかどうかは断定しません。財産を築いた人が誰に渡すかを決める自由や、財産を受け取る側の権利を、どこまで制限してよいかを検討する必要があります。税や規制の負担が、目的に対して重すぎないかも課題です。
主な反対意見
- 自分で築いた財産を誰に渡すかも、本人の自由ではないか。
- 非上場会社の株式や農地など、すぐに現金に換えにくい財産をどう扱うのか。
- 信託や会社の仕組み、低い金利での貸し付け、海外への移転などを使った制度の抜け道を、どう防ぐのか。
- 親族ではない友人からの贈与まで、同じ上限に含める理由は十分か。
- 誰が一生の間にどれだけ財産を受け取ったかを調べるために、どれほどの費用や個人情報が必要になるのか。
検討が必要なこと
まだ決めていないこと
上限をいくらにするか、家業の引き継ぎや公益目的の寄付をどう扱うかは、まだ決めていません。財産の価値の算定方法、海外との財産の移転、徴収した財産の使い道、憲法との関係についても、結論は出していません。